仏師|木村光秀のホームページです。高野山で修行をした僧侶でもあり、祈りと信仰をもとに、仏像を彫り続けています

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木村光秀展ー名古屋市の大森寺での個展


拝んで刻んでまた拝む仏師僧 木村光秀、久々のブログです。
今回は11月1日〜7日迄名古屋市守山区の大森寺本堂に於いて開催致しました「木村 光秀展」を振り返ってみたいと思います。
此の度の個展は平成20年の銀座光画廊での初個展以来の開催で、かねてより出身地名古屋で個展をと思っておりましたので2年前から計画、準備を始め、開催の運びとなりました。
光秀造佛處は受注・謹刻が基本ですので、作品として佛像を造り置くことが無く、個展の為に出陳作品を集める事は困難を極めます。
今回は新作2作品を中心に、過去に依頼され、謹刻、納佛をさせて頂いた9作品(1つのシリーズ8作品と1作品)を拝借致し、光秀の造佛初期作品など7作品を加えさらに現在謹刻中の名古屋市東区東界寺様御依頼の仁王尊像阿形(粗彫り途中)と原型も出陳。総作品数20点での展観となりました。
会期中は天候にも恵まれ、初秋の七日間、木の香りに満ち満ちた大森寺新本堂には約250名もの皆様にお越し頂きました。お運び頂きました皆様、本当にありがとうございました。

大森寺復興事業と光秀造佛處

平成27年11月落慶しました大森寺新本堂は吉野檜をふんだんに用い、伝統的木構造で堂内に大空間を作り出しています。
大森寺と光秀とのご縁は、明治8年の火災で焼失した創建当時の伽藍を復興する事業の本堂境内の設計者、佐藤義信氏とは旧知であったため、ご紹介頂いた事が始まりでした。本尊阿弥陀如来像の台座・光背並びに歴代住職方のご位牌を再建させて頂き、現住職二十六世石橋伸一僧正様と有難き御佛縁を賜りました。本展の会場に大森寺新本堂外陣をとお願い申し上げた所、ご快諾を頂き木造伝統構造の素晴らしい空間での佛像展を開催することができました。

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それでは「木村光秀展」にご案内致しましょう

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会場内
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会場内

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○仏伝ー釈迦の生涯シリーズー

1986年〜1995年に渡りお釈迦様の生涯で重要な場面をオリジナル作品として6点発表しました。すなわち「ルンビニーのマーヤー夫人(仏誕)」「出城(出家)」「スジャータの供養(苦行の終り)「降魔成道(悟り)」「茉莉花(教化の時代)」「悲しみのアーナンダ(入滅)」です。本展では後半の3作品をご覧ください。

○如来頭部(にょらいとうぶ)

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上記のシリーズ制作にあたり、日本の仏像ではなく、よりインド的な雰囲気の人体彫刻表現を試みるための出発点となる習作です。

○降魔成道(ごうまじょうどう)

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釈尊が苦行をやめて菩提樹の下で禅定に入り今、正に大悟を得んとする場面。釈尊をとり囲むマーラ(魔)の3人の娘はそれぞれ「欲求」「欲求不満」「満足」を表し、釈尊を誘惑します。釈尊の指先が台座(大地)に触れると成道を祝福する大地の女神が現れます。
直径90㎝程のクス材を(シンを除き)うまく用いての一木彫刻です。

○茉莉花(まつりか)

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マツリカはコーサラ国の王妃の名前。(元々は花の名でアラビアン・ジャスミン)コーサラ国のパセーナディ王は事あるごとに都の郊外にある祇園精舎に釈尊を訪ね、教誡を求めたと。(阿含経・相応部経典コーサラ相応、八、末利)茉莉花の造像により成道後の釈尊が人々を教え導いている時代を表しています。(最初の説法は35才の時。それから45年間ずっと!)

○悲しみのアーナンダ

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お経の最初の文句「如是我聞」ーこのように私は聞いたー
正にこのように聞いていたのがアーナンダです。彼は釈尊の侍者として身の回りの世話をしながら常に釈尊と行動を共にしていました。
80才を迎え尚人々の利益と幸福のため法を解き続ける釈尊を支え続けたアーナンダ。「諸行無常」を真理と理解しながらも釈尊の死を前にして悲嘆にくれます。

○観世音(かんぜおん)

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「風定花猶落、鳥啼山更幽」〈風定まって花なお落ち、鳥啼いて山更に幽なり〉という禅語があり、良寛和尚はこの風景を「観音の妙智力」とたたえました。
本作は後半の鳥啼‥‥をイメージして桜の一木から彫り出しました。結婚に際し、妻仁枝に贈ったものです。

○真言八祖像(しんごんはっそぞう)

弘法大師(こうぼうだいし)

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恵果阿闍梨(けいかあじゃり)

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真言宗の開祖は弘法大師空海。
お大師さんの師匠は唐の恵果阿闍梨(けいかあじゃり)。
更にその前にインドで密教を完成させた偉大なる師匠方の肖像。
弘法大師は本朝の人、恵果和尚と一行阿闍梨は中国、その他は印度の高僧です。京都の東寺に現存する国宝真言七祖像(絹本著色)は、平安時代(唐時代)にお大師さんが唐から持ち帰ったもので後世あまた描かれる八祖像の原型です。(後に弘法大師像が加わり八祖となりました)
本作は知立市の遍照院様からの御依頼により上記東寺の八祖像を範としデッサンを描き檜の一枚板に浮き彫りを施しました。

○地蔵菩薩(じぞうぼさつ)

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子育、安産、抜苦、衆生済度などの仏さま。
釈迦入滅後56億7千万年後に弥勒仏が現れる迄の無仏時代に衆生を救って下さいます。年忌本尊(十三仏)では五七日の本尊となります。
坊主頭でシンプルな衣表現のためよく仏像の入門課題に選ばれます。
光秀23才頃の作

○虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)

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知恵と福徳施与の御利益があり、年忌本尊(十三仏)では三十三回忌の本尊です。十二支守り本尊では丑と寅の年の守護。
この厨子入り虚空蔵菩薩は光秀得度前の最後の作で自らの本尊を定め、この先一生涯拝み続ける覚悟が感じられます。
総白檀材で贅沢な造りです。

○不動明王(ふどうみょうおう)

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仏さまが衆生を導く法に三種あります。
一つは仏さまがそのままで人々を教え導く。
第二は人それぞれの環境や立場に応じてその人にふさわしい姿となって共に居て導く。観音様などの菩薩の役目。
第三が教えを説いても聞く耳を持たず反抗する者に対し、眼を向き歯を出して怒りの様相を示し、威力を持って説き伏せる。明王部の役目。
不動明王は右手の利剣で迷える人々の煩悩を断ち切り、左手の羂索(けんさく)=ひもで縛って悟りの境地へと導きます。また火焔光背はあらゆる迷いや欲望を焼き尽くし、すべての災難の種を焼きつくし願いを叶えて下さるというお不動さまの願心の表れです。
不動明王には大きく2つのスタイルがあります。両眼を見開き上の歯で下唇を噛む。髪は直毛。と片目をすがめ、左右の牙を上下に出す。髪は巻毛。前者の方が古様でお大師様が唐から将来した不動明王の原型といえます。身体の色は青黒色で瑟瑟(しつしつ)座という岩座の一種に座します。
本作はその儀軌(ぎき=仏像の決まり事)に忠実に謹刻しました。
手間を惜しまず、本金、本藍、茜、丁字、ベンガラ等の天然原料で染色しました。

○聖観音(しょうかんのん)

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○聖観音(厨子入り)

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法華経普門品(ほけきょうふもんぼん)=観音経に「‥‥是の観世音菩薩を聞いて一心に名を称せば観世音菩薩は即時にその音声を観じて皆解脱することを得しめん」とあるように世の人々の悩み、苦しみの声を観じて(聞いて)全ての苦難を除く仏さまです。
般若心経の冒頭の句に「観自在菩薩行深般若‥‥」とある観自在菩薩も同じです。菩薩ですので広大無辺の慈悲の心をもってそれぞれの人にあわせて導くことから、いろいろな変化(へんげ)の観音さまが現われてきます。
十一面観音、不空羂索(ふくうけんじゃく)観音、千手(せんじゅ)観音、准てい観音、如意輪(にょいりん)観音、馬頭観音、等で六観音、七観音とよばれます。また、観音経は観音三十三身を説きますが、これは救いを求める衆生の姿に応じた三十三の姿で救済するというもので、三十三霊場や、三十三間堂などの33の数字の基本です。
変化(へんげ)しない本然の観音そのものを指す名称として聖観世音菩薩といいます。
年忌本尊としては百カ日。又、勢至菩薩と共に阿弥陀如来の脇侍となります。(阿弥陀三尊)
観音様のお姿は、菩薩の特徴である上半身に天衣(てんね)=ショールと条帛(じょうはく)=たすきを着し、宝石で身を飾り下半身は裙(くん)=腰巻き、頭髪は高く結い上げ阿弥陀如来の化仏(けぶつ)の宝冠を戴きます。
本作 檜材・榧材製(厨子入り)共に本金泥で加飾を施し観音さまの優しさ、華麗さを強調しました。

○厨子入り観音はマンション住まいのお施主様の御要望に応じ、コンパクトに設計。リビングでお参りして頂いております。

○仁王尊像阿形(におうそんぞうあぎょう)

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名古屋市東区出来町の東界寺様の御依頼で謹刻中の仁王尊像です。
等身大で動きのある彫刻ですから原型を造ってから、約3倍にするという伝統的寄木造りの工程をご覧頂けます。
阿・吽で1組の仁王様ですが、本展では阿形のみの出展です。
東界寺様にて来年秋に落慶予定です。

○阿形像粗彫り完成!

御高覧いただきありがとうございました。大森寺様での「木村光秀展」から早いもので1ヶ月以上が過ぎました。
阿形像粗彫り完成致しました。現在は運形に取りかかっています。吽形の進行はまたブログにてご報告致します。

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今年もあとわずかとなってしまいました。光秀造佛處はあい変わらず「拝んで刻んでまた拝む」毎日を過ごさせて頂いております。
皆様の穏やかな年始年末を心よりご祈念申し上げます。
合掌

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